日刊スポーツ
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[2021年02月28日 11時02分]

05年日米オークス馬シーザリオが27日に子宮周囲の動脈断裂による出血性ショックのためけい養先のノーザンファーム(北海道安平町)で死んだことが28日、分かった。19歳だった。

競走馬として、母として。日本の競馬を盛り上げた名牝が突然逝った。シーザリオは04年のクリスマス当日にデビューし、翌年には日本馬史上初となる日米オークスを制した。アメリカンオークスの走破時計1分59秒03は今もなお、レースレコード(16年は1800メートルでの施行)。2着馬に4馬身差をつけるまでの直線半ばで、同馬を管理した角居師が握手攻めにあっていたというほどの圧倒的な走りだった。くしくも今月をもって引退する同師が開業5年目に“世界のSUMII”として、その名を広げることになったきっかけの馬でもあった。

同馬は05年7月、帰国後の着地検疫期間中に右前繋靱帯(じんたい)炎が判明。年内の復帰を目指したが思うような回復が見られず、翌06年4月に症状が再発。わずか6戦でターフに別れを告げた。

実質的な現役期間はわずか半年と少し。ターフの上で放った閃光(せんこう)のような輝きは、繁殖牝馬に立場を変えても色あせることはなかった。角居師はかつて、「シーザリオとは競走馬としては短い付き合いでしたが、ファミリーとしては長い付き合いになりました。産駒はそれぞれ父のいいところがうまく引き出されています。共通点としては、本番に強いことと、頭がいいことではないでしょうか」と思い入れたっぷりに語ったことがある。

産駒はエピファネイア(13年菊花賞、14年ジャパンC優勝)、リオンディーズ(15年朝日杯S優勝)、サートゥルナーリア(18年ホープフルS、19年皐月賞優勝)の3頭がG1を勝ち、いずれも種牡馬入り。エピファネイアは無敗の3冠牝馬デアリングタクトを送り出し、リオンディーズは初年度産駒のピンクカメハメハが先週、サウジアラビアでのサウジダービーを勝った。孫にあたるオーソリティもG2・2勝を挙げるなど、国内屈指の名牝系を築き上げている。

最終産駒は昨年誕生したシーザリオの20(牝、父ロードカナロア)。現役産駒は現在、グローブシアター(牡7、角居)、ファーストフォリオ(牝4、須貝)、ルペルカーリア(牡3、友道)の3頭となっている。

◆シーザリオを生産したノーザンファーム吉田勝己代表のコメント

突然のことでただただ驚き、胸を締め付けられる思いです。日米オークス制覇の輝かしい競走実績だけでなく、初年度産駒から3冠牝馬輩出のエピファネイア、産駒が先日のサウジダービーを制したリオンディーズ、そして今年からスタッド入りしたサートゥルナーリアと、3頭の種牡馬を産んだ彼女には感謝の言葉しかありません。牧場の礎を築いてくれたシーザリオが亡くなったことは、誠に残念でなりませんが、今は安らかに眠ってほしい思いでいっぱいです。

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