【矢作芳人調教師 信は力なり】海外遠征、体調維持と精神面バランス重視



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 先週は、26日のコックスプレートを目指してオーストラリアに遠征しているリスグラシューの状態を確認してきた。滞在しているのは、メルボルン郊外にあるウェビリー競馬場の検疫厩舎。ともに遠征しているクルーガー、メールドグラース、そして英国馬3頭と6頭で過ごしている。ここのオールウエザーコースは狭くて硬く、芝コースはボコボコ。調教の条件は、非常に厳しい。だが現状、脚元に不安なく、馬体重は480キロ。とても順調に調整できているのが何よりだ。

 リスグラシュー自身は2度の香港遠征、そしてわが厩舎としては過去2度の当地への遠征経験を生かせている。海外遠征では体調面の維持は当然として、自分が重視しているのは精神面のバランスである。知らない土地でテンションが上がり過ぎたり、あるいは静かすぎる環境で馬が放牧と勘違いするケースがある。そのバランスを上手く取って競馬に向かわせるのが、調教師の仕事だと思っている。

 栗東には、エリザベス女王杯を目標としているオークス馬ラヴズオンリーユーが帰ってきた。報道にあった蹄の不安はあくまで一過性のもので、今は何の不安もない。とてもいい体を保って、毎日不安なく調教を進めている。息遣いはまだまだであるが、目標までまだ4週間ある。無敗を継続できるよう、万全の態勢でGIを迎えたいと考えている。

 今週は菊花賞。厩舎からは、ユニコーンライオンが出走する。人気はないようだが、出す以上は勝利を目指しているのはホースマンとして当然だ。折り合いに全く心配がなく勝負強いのが彼の強みで、消耗戦の力比べになればと思うし、馬場が少し渋ってほしいと願っている。応援してほしい。



矢作 芳人(やはぎ・よしと)

 1961(昭和36)年3月20日、東京生まれの58歳。父は大井競馬の矢作和人元調教師。東大合格者を多数輩出する開成高を卒業後、豪州で修業し、84年に栗東トレセンへ。厩務員、調教助手を経て2005年に調教師として厩舎開業。14、16年にJRA賞(最多勝利調教師)獲得。15日現在、JRA通算611勝。重賞は34勝で、うちGIは12年の日本ダービー(ディープブリランテ)、今年の宝塚記念(リスグラシュー)など7勝。海外GI勝ちは16年ドバイターフ(リアルスティール)。趣味は競輪、サッカー観戦など。




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