【JRAデータ分析】好走率がどんどん上昇している藤田菜七子騎手、夏場に強い池添謙一騎手



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 2018年の夏季競馬は残すところ4週。サマーシリーズに参戦中の人馬はもちろん、馬券を買う私たちにとっても、シーズンの明暗が分かれる重要な時期と言えるでしょう。また、新人ジョッキーのデビューからちょうど半年が経過し、新たな勢力図が見えてくるタイミングでもあります。

 そこで今回は「夏場に強いジョッキー」と「成績が良化しているジョッキー」をそれぞれランキング化してみました。なお、本稿の全体的な集計対象は“2015年08月15日から2018年08月05日の3年間に施行されたJRAのレース”です。

■7~9月に強い騎手の代表格は池添、松岡あたり

 まずは「夏場に強いジョッキー」からご覧いただきましょう。複勝率ならびに複勝回収率は「7~9月のレース」におけるもの、カッコ内は「10~6月のレース」と比較した際の伸び率で、複勝率の伸び率が大きかった順に並べています。

※集計期間中の出走数が1000回以上の騎手のみ
※数字左から複勝率 / 複勝回収率
1位 野中悠太郎 11.8%(+51%) / 76%(+52%)
2位 池添謙一 34.9%(+44%) / 75%(+12%)
3位 松岡正海 23.2%(+43%) / 84%(+14%)
4位 井上敏樹 12.9%(+33%) / 71%(-1%)
5位 国分優作 13.5%(+31%) / 62%(-13%)
6位 菊沢一樹 14.0%(+28%) / 64%(-3%)
7位 城戸義政 16.8%(+28%) / 102%(+46%)
8位 木幡初也 14.4%(+23%) / 71%(-15%)
9位 岩田康誠 35.5%(+22%) / 77%(+5%)
10位 三浦皇成 28.6%(+20%) / 72%(+9%)
11位 黛弘人 13.8%(+19%) / 82%(+26%)
12位 小牧太 23.4%(+18%) / 77%(+1%)
13位 柴田善臣 20.8%(+18%) / 84%(+24%)
14位 丹内祐次 15.7%(+18%) / 71%(+34%)
15位 武藤雅 20.0%(+18%) / 91%(+20%)
16位 北村宏司 26.2%(+17%) / 72%(+0%)
17位 柴田大知 22.0%(+17%) / 68%(-4%)
18位 国分恭介 17.9%(+17%) / 81%(-11%)
19位 高倉稜 13.5%(+16%) / 71%(+6%)
20位 江田照男 10.9%(+16%) / 74%(+45%)

 複勝率の高さや伸び率が目立っているのは池添謙一騎手。「10~6月のレース」における複勝率は24.3%どまりだったのですが、「7~9月のレース」における複勝率はおよそ4割増しで、複勝回収率もアップしていました。2018年07月01日の巴賞(3歳以上オープン・函館芝1800m)を単勝5番人気のナイトオブナイツで制すなど、今夏もそれなりに好調です。

 あとは岩田康誠騎手、松岡正海騎手、三浦皇成騎手あたりも見逃せない存在。出走可能頭数の少ない函館や札幌を主戦場としているとはいえ、複勝率の伸び率はそれぞれ優秀ですし、複勝回収率も悪くありません。

 個人的に興味深かったのは野中悠太郎騎手や武藤雅騎手がランクインしている点。どちらも中央場所のレースを主戦場としている若手ジョッキーですが、開催がローカルに替わるこの時期は、好走率だけでなく回収率も大幅に上向きます。「10~6月のレース」でトップジョッキーを相手にしている分、その腕前やローカル場への適性を過小評価されている模様。残念ながら野中悠太郎騎手は海外渡航中、武藤雅騎手は負傷により休業中ですが、来夏まで覚えておきましょう。

■菊沢、藤田、武藤はここ1年で好走率が急上昇

 続いてご紹介するのは「成績が良化しているジョッキー」。こちらの複勝率ならびに複勝回収率は「過去1年(2017年08月12日から2018年08月05日まで)のレース」におけるもの、カッコ内は「それ以前(2015年08月15日から2017年08月06日まで)のレース」と比較した際の伸び率です。

※集計期間中の出走数が1000回以上の騎手のみ
※数字左から複勝率 / 複勝回収率
1位 武藤雅 19.2%(+52%) / 73%(-29%)
2位 国分恭介 19.6%(+42%) / 102%(+26%)
3位 丸山元気 25.3%(+38%) / 83%(+14%)
4位 石橋脩 30.3%(+36%) / 91%(+23%)
5位 菊沢一樹 14.0%(+35%) / 84%(+53%)
6位 藤田菜七子 11.3%(+31%) / 43%(+13%)
7位 M.デムーロ 54.6%(+18%) / 80%(-2%)
8位 古川吉洋 19.0%(+18%) / 71%(+3%)
9位 北村友一 29.4%(+17%) / 68%(-20%)
10位 松山弘平 25.6%(+16%) / 81%(+5%)
11位 C.ルメール 57.5%(+15%) / 87%(+6%)
12位 三浦皇成 26.4%(+14%) / 75%(+29%)
13位 武豊 39.8%(+12%) / 82%(+14%)
14位 井上敏樹 11.4%(+11%) / 102%(+59%)
15位 大野拓弥 23.6%(+10%) / 78%(-3%)
16位 藤岡佑介 27.8%(+9%) / 74%(-3%)
17位 森裕太朗 14.8%(+9%) / 58%(-39%)
18位 津村明秀 21.6%(+8%) / 81%(+7%)
19位 和田竜二 26.6%(+8%) / 69%(-17%)
20位 川田将雅 45.5%(+6%) / 92%(+12%)

 まず触れなければならないのはM.デムーロ騎手とC.ルメール騎手の2名。それぞれ複勝回収率はそれほど変わっていないものの、複勝率は1割以上もアップしていました。JRAの騎手免許取得からおよそ3年半が経過し、馬券を買う側の「新鮮味」はなくなってきつつありますが、どちらも昨年の半ばあたりからじわじわと好走率が上昇中。他騎手との差はさらに広がりつつあると見ておいた方がいいでしょう。

 若手で勢いがあるのは菊沢一樹騎手、藤田菜七子騎手、武藤雅騎手あたり。いずれも「過去1年のレース」における好走率が上がっているうえ、複勝回収率やその伸び率も決して悪くありません。チャンスのなさそうな馬に騎乗しているケースも多いので、見た目の数字以上に高く評価していいと思います。

 他に強調しておきたいのは石橋脩騎手、国分恭介騎手、丸山元気騎手といった中堅どころの好調ぶり。世間の評価が急に上がることはないでしょうから、今後もしばらくは妙味ある配当をもたらしてくれそうです。

(文・伊吹雅也)



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