【矢作芳人調教師 信は力なり】競馬業界全体の発展のためには女性騎手減量制度の導入不可欠



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 既報の通り、藤田菜七子騎手が先週2勝を挙げて通算31勝(地方交流競走を含む)となり、減量が1キロ減って『2キロ減』の見習騎手となった。同時に、GIレースへの騎乗が可能となる。競馬を盛り上げる意味でも、喜ばしいことだ。

 彼女はうちの坂井瑠星と同期だったので、競馬学校時代から騎乗を見ていた。正直、デビューした頃は筋力が足りず、また、騎座も不安定で見ていて心もとなかった。しかし、関係者の努力やオーナーのご理解を得て多くの騎乗数を獲得したこともあり、随分上達したように思う。追う姿勢もしっかりしたし、女性特有の当たりの柔らかさで、彼女だから動く馬もいるようだ。敏腕エージェントの中村氏もサポートしているし、もっともっと活躍して、ファンを魅了してほしいと願っている。

 ただ、この盛り上がりを、彼女だけの一時のブームにしてはならない。そのためには、女性騎手だけの減量制度の導入が不可欠である。フランスではすでに実施されていて、かなりの成果を挙げている。具体的には男性プラス1キロ程度のアドバンテージが妥当であろうか。減量を卒業した後も平場に限り1キロの減量があればなお良い。

 菜七子騎手がそうであったように、うまくなるためには騎乗数の確保が第一条件だ。馬主さんに騎手を提案するときに、その1キロが説得材料になりうると考えられる。

 女性騎手の増加は、今まで男性ばかりでやや封建的であった競馬業界を、間違いなく活性化させる。騎手でなくても、多くの女性が競馬の世界に足を踏み入れてくれることが、慢性的な人手不足に悩む生産・育成牧場の切り札になる可能性もある。この制度の導入にはごく一部で不可解な反対意見もあるようだが、競馬業界全体の発展のためにも、ぜひ成し遂げてほしいものだ。(JRA調教師)




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