【東京大賞典】リッキー、史上最多11冠!劇的ラストラン



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 第63回東京大賞典(29日、大井10R、GI、3歳上オープン、定量、ダ・右2000メートル、優勝賞金8000万円 =出走16頭)暮れのダート王を決める一戦は、田辺裕信騎乗で3番人気のコパノリッキー(栗東・村山明厩舎、牡7歳)が逃げ切って優勝。日本競馬史上最多のGI11勝目を挙げ、同じ牧場で生まれたキタサンブラック(有馬記念)に続いて引退レースを白星で飾った。タイム2分4秒2(良)。レース後は引退式に臨み、ファンの声援に応えた。来春には種牡馬として新たなスタートを切る。

 完璧な逃走劇だった。圧勝だ。最後の最後に、“前馬未到”の記録に到達した。ラストランのコパノリッキーが、パサパサに乾いた大井の砂上を力強く疾走。ライバルの蹄音が遠のく。一昨年の覇者サウンドトゥルーに3馬身差の独走。歴代単独トップとなるGI11勝の偉業を成し遂げた。

 「引退レースで、しかもGI11勝目の記録もかかっていたので…。僕の方がドキドキして、馬に余計なストレスにならないか心配したけど、一番いい形で締めくくれてほっとしました」

 重圧から解放された田辺騎手がほほ笑む。果敢な逃げ戦法は事前に決まっていた。レース3日前の26日。建築家で風水研究家のDr.コパこと小林祥晃オーナー(70)が、東京・銀座に村山調教師、田辺騎手を招いた。作戦会議でオーナーは「今まで中途半端に抑えすぎていた。逃げましょう」と提案。2人も同意した。行く気を見せたケイティブレイブをねじ伏せるように先手を奪うと、あとはマイペース。鮮やかに花道を飾った。

 しんがり人気で勝った2014年のフェブラリーSを皮切りに11度目の騎乗。田辺騎手にとって、リッキーは特別な存在だ。「初めてGIを勝たせてもらい、しかも16番人気というインパクトで、僕の知名度を上げてくれた。この馬のおかげで今の僕がある」。すっかり一流騎手へと飛躍した33歳が相棒への感謝を口にした。

 今回は、そのフェブラリーSと同じ〔7〕枠(13)番。コパさんは験を担いで、当時と同じオレンジの服装に身を包んで臨んだ。「JBCスプリント(2着=2走前)で短距離を使ったことが良かった。馬に刺激を与えたことで、こういう競馬ができた」。若い頃から通った大井は、思い入れの深い競馬場。「一番勝ちたいレースだった」と、引退式では感極まって言葉に詰まるシーンもあった。

 同じ北海道日高町・ヤナガワ牧場で生まれたキタサンブラックの有馬記念に続いて、万感の有終V。1月6日に京都競馬場でも引退式を行い、同町のブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬入りする。オーナーの意向で種付け料は80万円と低く設定。すでに満口と大人気だ。コパさんが所有するGI馬ラブミーチャンに種付けするプランも浮上している。

 もろさはあったが、強いときはとにかく強い。最後までその持ち味を存分に発揮した個性派リッキー。第二の馬生も、見通しは明るい。 (板津雄志)

★イスラ阪神Cから有終Vラッシュ

 競馬界は有終の美を飾る馬が続出している。2014年の皐月賞馬イスラボニータ(美・栗田博、牡6)が23日のGII阪神カップを制して花道を飾ったのを皮切りに、24日の有馬記念ではキタサンブラック(栗・清水久、牡5)が断然人気に応えてV。この流れにコパノリッキーも続いた。

★衝撃の1つ目

 歴代単独最多のGI11勝馬に輝いたコパノリッキーだが、その1つ目は驚きの勝利だった。オープン特別で10、9着と敗れて臨んだ2014年のフェブラリーS。歴戦の古豪が相手では、16頭立ての16番人気(単勝2万7210円)も無理はなかった。しかし、初騎乗の田辺騎手がすんなり2番手に導くと、あれよあれよの押し切り。鞍上ともども初のGI勝利となり、その名を強烈にアピールした。



コパノリッキー

 父ゴールドアリュール、母コパノニキータ、母の父ティンバーカントリー。栗毛の牡7歳。栗東・村山明厩舎所属。北海道日高町・ヤナガワ牧場の生産馬で、馬主は小林祥晃氏。戦績33戦16勝(うち地方17戦10勝)。獲得賞金9億9514万4000円(うち地方6億8690万円)。重賞はGI11勝を含め13勝目。東京大賞典は村山明調教師、田辺裕信騎手ともに初勝利。馬名は「冠名+人名より」。





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